私がポルトガルでポスドクとして働くときに必要だった手続きについて書きます。 2010年8月時点における私の経験について書いてありますが、以下の内容の正しさは保証しません。 正確な内容については、在日ポルトガル大使館、在ポルトガル日本大使館、外務省などに問い合わせると 良いでしょう。
出発前に在日ポルトガル大使館でビザの申請をします。 ビザの申請については在日ポルトガル大使館のホームページに 詳細な情報があるので、そこを参考にしてください。
出来ればポルトガル語は勉強していくと良いです。役所の人とか銀行の人とかが 英語をしゃべれるとは期待しない方がいいです。 最低でも挨拶 (Bom dia. Boa tarde. Boa noite. Obligado. 等) 数の数え方、方向の言い方、「これ!」と言う言葉は覚えておくと楽です。
ビザが無事取れたら渡航です。渡航前に日本で用意できる書類は確実に揃えていきましょう。 あと、日本大使館の地図、住む場所の地図、勤務先の地図があると便利です。ようこそポルトガルへ。
到着したら日本大使館に在留届を出します。同時に在外選挙人登録の申し込みもしてしまいましょう。 在ポルトガル日本大使館は、地下鉄 Linha Azul (青色線) の Marques de Pombal 駅 (マルケーシュ・デ・ポンバーゥ) の 近くにあります。
大使館は結構セキュリティが厳重です。まず、建物の1階にいる警備員さんにパスポートを見せて 日本大使館に行く旨を伝えます。Vou a embaxada do Japao とかスラスラ言えるとカッコいいでしょうが 「ジャパォ!ジャパォ!」とパスポートを見せて連呼しても察してくれます。 この時に小さい紙に警備員さんが署名して渡してくれるので、オブリガードとお礼を言って受け取って、 大使館のある階までエレベーターで行きましょう。
エレベーターを出るとインターホンがあります。インターホンを鳴らして相手が出たら、 さっき警備員さんにもらった紙をカメラに向けて、在留届の提出に来た旨を伝えましょう。 インターホンに応答するのは日本人じゃないことが多いっぽいです。Quero submeter documentos とか 言うとカッコいいのかもしれませんが、英語で言っても通じます。最悪、紙を見せてケーロ、ケーロ (Quero=I want) と カエルのようなことを言っても通じるんじゃないでしょうか。
無事相手が紙を確認すると、左手にあるドアの鍵がカチャリと開きます。 中から警備員さんが手招きしていると思うので、入りましょう。 今度は荷物検査と金属探知機です。大使館内はカメラや携帯電話の 持ち込みが禁止されているので、持っている場合は警備員さんに預けましょう。 それ以外は、大体空港の検査と同じです。PCとか電子辞書とかiPadとかKindleとか 持っていると、警備員さんが「これはなんだ」と聞いてくるかもしれないので 説明しましょう。
入って右手が領事部、左手が文化部です。書類の提出なので領事部に行きます。 ここからは日本人の方が出てきて下さるはずです。在留届と在外選挙人登録を したい旨を伝え、書類に記入して提出しましょう。このとき、一階で警備員さんに もらった紙を渡して署名してもらいましょう。
提出が終わったら、警備員さんにカメラや電話を預けた場合は返してもらって、 一階までエレベータで降りましょう。一回の警備員さんに先程の紙を渡して帰りましょう。
その後はビザが切れる前に在留許可を取得しなければなりません。 これがなかなか大変です。とにかく、すぐに行動を始めましょう。
在留許可取得に必要な書類は、私の場合は
多分契約書でいいのですが、もし給料が何らかの研究予算から出ている場合は 「あなたにこの研究予算から月々いくら支払います。これは◯◯までの契約で ◯回まで更新が可能です」みたいなことが書いてある declaracao という書類が 必要になることもあります。多分 declaracao はビザを手に入れるときに 必要なはずなので、それを持っておけばよいでしょう。
契約書を手に入れるためには、まず銀行口座を開設しなければなりません。 そのためには「納税者番号 (numero de contribunte)」と「住所を証明できる書類」の二つが必要です。 (在留許可取得に必要な「住所を証明できる書類」は、この段階で取れるわけです。) 前者は loja de cidadão と呼ばれる行政なんでもサービスセンターか finanças と呼ばれる 財務関係の行政サービスセンターに行って手続きをします。(Loja de cidadao は、 例えば地下鉄青色線の Laranjeira 駅などにあります。) 僕の場合は大学の人が一緒に行って手続きをしてくれたので、何が必要だったかあまり覚えてません。 とりあえず、自分が持っている書類は全部持って行きましょう。 ここで貰う書類は、しばらくの間自分の納税者番号を証明する唯一の書類になるので、無くさないようにしましょう。
あと、納税者番号に限らないのですが、ポルトガルで役所関係の手続きをする場合は一日がかりになることが 多いので、覚悟していきましょう。朝行って、順番待ちの札を取って、カフェに入ってのんびりして、 戻ってきてまだ順番が来てないことを確認して、どこかで食事して、戻ってきてまだ順番が来てないことを確認して、 近くをぶらぶらして、戻ってきてようやく順番が来て、係の人と話をしたら10分で「必要な書類がないから これを揃えて別の日に来てくだしあ」と言われることも頻繁です。それもまた経験です。
「住所を証明できる書類」は一般的にどう取るのか私は分かりませんが、 私の場合は大学の研究者用アパートに入っていたので、そこに証明書を出してもらいました。 アパートを借りる場合は賃貸契約書で良いようです。ただし、署名入りの原本が必要。 あと、契約書に "O presente contrato devidamente selado entregue na Reparticao da Financas" とか書いてある場合は Financas という役所に行って契約書にスタンプを押してもらう 必要があります。がんばれ。
どちらも用意できたら銀行に行きましょう。口座を開きたい旨を伝えて、 パスポートとここまでの書類を出しましょう。書類にいろいろ書いて、署名して、口座が開けます。
これで多分契約書がもらえます。在留許可取得まで一歩近づきました。
次なる難関は社会保障番号の取得です。奨学金をもらって学生として渡航する場合は これはいらないらしいのですが、私は必要だと言われました。 これを手に入れるためには、病院で健康診断書を出してもらわなければいけません。 ポルトガルには公立病院と私立病院の二つがあります。私立病院は街中に medico とか clinica とか書いて営業しているやつで、高い代わりに迅速です。(高いと言っても多分 数十ユーロなので、時間を買うつもりでこっちにかかってもいいかもしれません。) こっちは電話で予約して、社会保障番号を取得するために診断書を書いてくださいと頼めば サクっと書いてくれるらしいので簡単です。
以下では私がチャレンジした公立病院を使う方法について書きます。 あなたの住所によってかかることのできる公立病院が決まりますので、 事前に調べておきましょう。公立病院にかかるためには、事前の登録が必要です。 病院に出向いて登録と健康診断書が欲しい旨と医者にかかる予約をしたい旨を伝えましょう。 恐ろしいのは、この時点で「登録には社会保障番号が必要です」と言われる場合が あるらしいことです。もしそう言われたら、諦めて私立病院にかかりましょう。 お金ってすごいですね!
予約した日時に医者にかかると、健康診断の処方せんをもらえると思います。 ここには、あなたが受けるべき診断項目がズラリと並んでいるので、 その次に医者に会うときまでに、この項目に載っている診断を受けて、結果を揃えておく必要があります。 恐ろしいのは、項目によっては別の検査専門のクリニックい行かなければいけなかったりすることです。 それぞれの診断をどこで受けられるのかを受付の人なりお医者さんなりに聞いておきましょう。 できれば住所を書いてもらいましょう。"Pode escrever as moradas?" とか聞けば書いてくれるかもしれません。 (私が受診した Alvalade の病院では、血液検査はお医者さんがいる建物の下の階で、 レントゲン検査は病院敷地内にある歩いて10分くらいのところで、レントゲン検査は二駅離れた Arroios の検査専門のクリニックに行きました。それぞれの項目について、一週間後に検査結果が出たので 取りに行きました。レントゲン写真はそのまま渡されました。うちには私の肺の写真があります。)
全検査の結果が揃ったら、結果を持って予約した日時にお医者さんの所に行って健康についてのアドバイスを受けつつ 診断書を書いてもらいます。これを持ってパスポートとここまでの書類を持って Arroios の社会保障センターに行き、 社会保障番号が欲しい旨を伝えます。(Loja de cidadao にも社会保障関係の部署があるのですが、 ここでは新規登録はできないようです。) 書類がOKならば申し込みが受け付けられて、後日 (20日後くらい) 社会保障番号が 送られてくるはずです。お疲れ様でした。
結論:おとなしく私立病院行っとけ。
いよいよ、ここまでに揃った書類を全部持って外国人局 (SEF) に行きます。 SEF に行く際には、まず事前の予約が必要です。電話して予約を取りましょう。 予約日時は1ヶ月後くらいに指定されるっぽいので、社会保障番号を取るための アクションを起こすときに同時に予約もしてしまえば良いでしょう。
予約された日時に SEF に出向きます。予約番号を取るための長い列ができていると思いますので そこに並びます。順番が来たら予約がある旨を伝えて番号をもらいます。 順番待ちの札を取って、カフェに入ってのんびりして、 戻ってきてまだ順番が来てないことを確認して、どこかで食事して、戻ってきてまだ順番が来てないことを確認して、 近くをぶらぶらして、戻ってきてようやく順番が来て、係の人と話をします。十分に運が良ければ、 署名をして指紋と顔写真を撮られて終わりっぽいです。もし普通の人程度の運しか持ちあわせていなければ、 何か不備を指摘されて日時を再指定されるかもしれません。そうなったらまた頑張りましょう。 私はこれまでにSEFに3回行きましたが、まだ許可が取れてません。来週再チャレンジです。 さすがに今度は大丈夫でしょうが……。
追記 (2010/08/03):その後、めでたく在留許可が取れました。ばんざーい。これで心おきなく研究できます。 122.10 euros かかりました。Multibanco での支払いもできるっぽいですが、私は一応現金を持っていきました。